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実績収集・トレーサビリティーシステム 導入事例株式会社GSユアサ様

ラインの特性に応じた実績収集とトレーサビリティーシステムにより産業用電池の品質管理体制を強化

京都市南区にある京都本社(写真上)とGSユアサ史上最長寿命の高性能カーバッテリー「エコ.アール ロングライフ」(写真右)

2004年に旧日本電池と旧ユアサコーポレーションが合併して誕生した株式会社GSユアサは、合併を機にERPを導入し、各社で独自に行われてきた業務を統合しました。2010年からは国内の電動車両用鉛蓄電池部門、電源システム部門、産業用蓄電池部門などの事業部門に三菱電機インフォメーションシステムズ株式会社(MDIS)の製造実行システム(MES)ソリューション「MELNAVI」を導入。部門ごとに生産管理体制が異なる中、ラインの特性に応じた実績収集や、製造現場の要望に応じた情報の可視化、ペーパーレス化などを実現しています。

管理工数の削減と品質向上を目指しMESの導入を決断

GSユアサグループは鉛蓄電池の事業に始まり、2017年に設立100年を迎えました。現在は、航空機、宇宙ロケット、電気自動車などに搭載されているリチウムイオン電池をはじめ、自動車・バイク用鉛蓄電池、国内産業用鉛蓄電池、電源システムなどの生産、販売を手がけています。そして世界17ヵ国38拠点で事業を展開しています。

2004年の経営統合とほぼ同時期にERPの導入に着手。2006年に主力部門である自動車電池事業部、産業電池事業部、照明機器やその他の事業部で稼働を開始しました。その後も国内の各事業部やグループ会社に展開を進め、2010年までに国内拠点への展開を完了しました。情報システム部 部長の小山佳伸氏は、ERP導入の意義について次のように語ります。

「統合まで競合関係にあった旧日本電池と旧ユアサコーポレーションは、業務プロセスもシステムも独自性が強いものでした。そこでERPに合わせて業務を統合する方針が決定され、カスタマイズを極力抑えた導入を進めました。その結果、新会社での業務の標準化とスリム化が進み、人間関係も含め事業の円滑化が図られました」

ERPによって経営のスピードアップや可視化を達成した同社は、次のステップとしてMESを導入してERPと製造現場の仕組みを連携することで管理工数を削減するとともに、品質情報を正確に把握して生産業務の効率化を図ることにしました。


情報システム部
部長
小山 佳伸 氏


情報システム部
活用推進グループ
グループマネージャー
吉岡 明義 氏


情報システム部
活用推進グループ
竹田 真司 氏

プログラムレスで画面が構築できるテンプレートの使いやすさとサポート実績を評価

MESの導入は、業務を標準化したERPとは対照的に事業部ごとに異なる個別の課題を解決する方針が定められました。MESはいずれもMDISの「MELNAVI」を採用し、2010年から導入を進めました。採用の理由はMDISのサポート実績とMELNAVIの使いやすさです。MDISは、GSユアサにデータウェアハウス(DIAPRISM)の導入を支援した実績があり、その後もBIツールを採用してデータ分析基盤を強化してきたことが評価されました。

さらに、選定の経緯を「『MELNAVI』は自社内でもテンプレートを用いてプログラムレスでデータの閲覧画面やマスターのメンテナンス画面が容易に構築できることが決め手になりました」と情報システム部 活用推進グループの竹田真司氏は話します。

MESを最初に導入したのが、フォークリフトや無人搬送車などの蓄電池を製造する電動車両用鉛蓄電池部門です。ここでは、製造ラインの作業時間を計測し、ERPと連携することで作業者の工数をより精緻に管理する仕組みを構築。その後も製造ラインを流れている製品の図面を電子化して、工場に設置したディスプレイにリアルタイムで表示する機能を付加しました。

次に電源システムの重要部品である電源基板の製造工場にMESを導入し、各製造工程でどの製品がいくつ製造されているかを可視化する仕組みを構築。翌2014年には製造リードタイムが長い電源システム部門に導入し、指図が設計、組立、検査のどの工程まで完了しているかを可視化する物件管理の仕組みを構築し、生産スケジュールを管理しています。

トレーサビリティーシステムの導入によりラインの品質改善の体制を強化

2016年4月には産業電池の産業用蓄電池部門にMELNAVIを用いた実績収集・トレーサビリティーシステムを導入し、2本の組立工程のラインと、充電・仕上・検査・出荷工程のラインで製造工程の履歴を追跡できるようにしました。具体的には組立工程の自動ラインには製造設備の情報を取得するPLC(シーケンサ)を導入し、実績や品質情報を自動収集してMESサーバー上で一元管理する仕組みを構築。手動で行っている充電・仕上・検査・出荷工程には、タブレットを使った実績・品質情報の入力機能を導入しました。また、事務所のPCの専用画面から各工程で収集された実績・品質情報が登録されているMESデータベースの情報を参照したトレーサビリティー情報が確認できる閲覧機能も付加しています。その後、第2次開発として2017年4月に別の組立工程にも横展開しています。

産業用蓄電池部門に導入した実績収集トレーサビリティーシステムは、取引先から寄せられる問い合わせ対応時間の短縮や、製品の不具合箇所の早期特定など、様々なメリットをもたらしました。

竹田氏は「従来は紙やExcelに検査内容などを記録して確認していた製造・検査履歴がシステム上で管理できるようになりました。返品された際に、以前は製品を回収して初めて作業の履歴が把握できる状態でしたが、トレーサビリティーシステムの導入後は製品の2次元バーコードを読み取るだけで作業担当者、作業時期、検査項目、作業履歴などが瞬時に把握できるようになりました」と語ります。


産業電池工場のトレーサビリティーシステム概要図

製造現場でのデータ活用が浸透し作業者や管理者の意識を改革

導入効果は各部門で現れています。工場側では現場の作業者の中にデータを活用する土壌が生まれ、積極的に意見が出されるようになりました。その結果、業務の効率化が加速されているといいます。

「MESは当初、データ入力の手間が増えるだけだと現場の作業者に思われていました。ところが、使い込む中で収集したデータをもとに工場内に設計図面の情報を表示できるなど、製造現場でのデータ活用が進むことで、作業者にもそのメリットが分かってきたようです。電動車両用鉛蓄電池部門には、実績データをもとに当日の作業予定数、現在の作業完了数、作業中の製品の標準時間などを表示するペースメーカーを導入し、ライン投入時間と標準時間から終了予想時間をリアルタイムで算出したり、作業の進捗状況を表示したりできるようにしました。ペースメーカーを見れば、作業の終了時間が把握できるため、現場の担当者に重宝されています。現場の上長も迅速な作業フォローが行えるようになりました」(竹田氏)

パートナーであるMDISに対して、情報システム部 活用推進グループ グループマネージャーの吉岡明義氏は次のように評価します。

「ラインの仕組みも生産の目的も部門ごとに異なり、製品も量産型から完全受注生産型まで様々です。実績情報の収集方法もPLCとセンサーによる自動収集から、ICタグとRFID、2次元バーコードとタブレットやハンディーターミナルを使った手動入力まで生産工程によって異なります。生産思想が異なる中でMDISには丁寧にヒアリングを実施し、製造現場の環境に即した提案をしていただきました。まさに当社とMDISの二人三脚で作ったMESといえます」

別ラインや他事業所へ横展開し製品競争力の付加価値向上へ

今後の取り組みについては、トレーサビリティーシステムの他部門(電源システム部門)への展開を検討しています。また、これまで10年近く蓄積した各部門の膨大なMESデータを活用し、品質の向上に役立てていくことも今後の課題だといいます。

小山氏は「MES活用の高度化を実現するため、MDISには今後もプロフェッショナルならではの提案に期待しています」と語ります。

GSユアサは、エネルギー・デバイス・カンパニーの「新生GSユアサ」を目指し、長期的・持続的成長を確固たるものにする取り組みを続けていきます。

お問い合わせ

株式会社 GSユアサ:
http://www.gs-yuasa.com/jp/

この記事について:
この記事は、情報誌「MELTOPIA」2018年03月号(No.234)に掲載されたものを転載しました。

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