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グローバルIT基盤導入事例三菱電機株式会社

Office365と独自クラウド環境によるセキュアなグローバルIT基盤を構築し効率的なコミュニケーション環境を整備

グループの約14万人が利用する「グローバルIT基盤」を構築した三菱電機

三菱電機株式会社は、三菱電機グループの約14万人が利用するグループ共通の「グローバルIT基盤」を構築しました。三菱電機独自のクラウド環境とマイクロソフトのSaaS型クラウドサービス「Microsoft Office365」を組み合わせたグローバルIT基盤により、セキュリティーの強化と効率的なコミュニケーションを実現しました。本プロジェクトでは、大規模システム構築で実績が豊富な三菱電機インフォメーションシステムズ株式会社(MDIS)をインテグレーターに選定。現在は2020年度の完了に向けて国内外300拠点への展開を進めており、グループ全体で年間20%の費用効果を見込んでいます。


成長戦略実現に向けグローバルIT基盤強化を推進

家電から空調・冷熱、半導体、通信、ビル、交通、自動車機器、公共、エネルギー、産業・FA、宇宙、ITソリューションまでの幅広い事業を展開する三菱電機。事業拠点は全世界に約300あり、連結従業員数は約14万人にのぼります。今回の「グローバルIT基盤」構築は、創立100周年を迎える2020年度にグループの連結売上高5兆円以上を目指す長期経営目標の達成に向けた取り組みのひとつです。IT戦略室 システム基盤部 部長の岩切博氏は次のように語ります。

「当社の成長戦略に、事業間のシナジーを高めて強い事業を核としたソリューション事業を強化することと、こうした成長牽引事業群をグローバルに展開するという方針があります。IT戦略室はこれを踏まえて、個々の事業部などで運用してきたIT基盤を統合・標準化することを決断しました。これによってセキュリティー対策の強化と情報共有/コミュニケーションの効率化を図り、業務の生産性向上と働き方改革を実現することを狙いとしています」


IT戦略室
システム基盤部 部長
岩切 博 氏


IT戦略室
システム基盤部 次長
後藤 啓介 氏

大規模システムの構築実績とワンストップで対応するSI力を重視

グローバルIT基盤の構築は、2つのプロジェクトが並行して進んでいます。ひとつは、セキュリティー対策の強化を目的とした端末一元管理、もうひとつは三菱電機独自の環境とマイクロソフトのOffice365を組み合わせたコミュニケーション基盤のグループ展開です。これらのプロジェクト推進のインテグレーターにMDISを選定しました。

「約14万人が利用する大規模IT基盤を構築するうえで、ポイントとしたのは実績です。MDISはセキュリティーを重視する金融機関のシステムや製造業を中心とした業務基盤の構築を手がけてきた豊富な実績がありました。また、三菱電機インフォメーションネットワーク株式会社(MIND)をはじめとする三菱電機グループのIT事業会社や、マイクロソフトなどのベンダーをすべて取りまとめてワンストップで対応できるSI力も重視して、MDISをインテグレーターに選定しました」(岩切氏)


約19万台の端末を一元管理してサイバー攻撃対策を強化

端末一元管理については、三菱電機グループの約300拠点で利用している端末(PC、サーバー)約19万台を集中的に管理する仕組みを構築するもので、ウイルス感染の集中監視・自動検知、セキュリティーパッチの自動適用、証跡管理を目的としています。2015年3月から集中管理基盤の設計をはじめ、2015年9月に構築が完了。10月から展開を開始し、2017年3月で19万台の展開を完了しました。

端末一元管理の集中管理基盤は三菱電機独自のクラウド環境に置き、各拠点には中継サーバーを設置。エージェントを組み込んだすべての端末から、中継サーバーを介して国内の集中管理基盤に情報を集約します。この端末一元管理に加え、新たに重要情報を保護する仕組みとして、マイクロソフトのコンテンツ保護技術Azure RMSを導入し、ファイルへの適切なアクセス制御、自動暗号化、証跡管理ができるようにしました。

「従来の端末管理や重要情報を保護する仕組みについては各事業部を中心に行ってきたため、インシデントが発生した際に原因の特定に時間を要することがありました。今回、情報保護の基盤を統合することで、セキュリティーレベルが向上するとともに、もしもの時にも迅速な対応が可能になりました」(岩切氏)


Office365の採用によりグループ間の情報共有を効率化

情報共有/コミュニケーション基盤については、24時間365日いつでもサービスの提供ができ、段階的な導入が可能なソリューションとしてOffice365を採用。三菱電機が独自に開発した上長承認や自動暗号化の仕組みは、パブリッククラウドのMicrosoft Azure上に設置しています。

岩切氏は「当初はオンプレミスも検討しました。しかし、パブリッククラウドについてOffice365やAzureがグローバルで実績が増えていること、開発期間の短さやコストメリットがあること、重要情報を保護する仕組みは三菱電機独自のクラウド環境に置くハイブリッド構成にできることなど総合的に考慮して採用を決めました」と語ります。

情報共有/コミュニケーション基盤は2015年11月から約7ヵ月かけて設計と構築を実施し、6月から段階的に展開を開始。2017年3月末時点で国内を中心に170拠点、約5万5千人が利用を開始しています。

IT戦略室 システム基盤部 次長の後藤啓介氏は「グループ内への展開は進行中ですが、効果が現れています。従来は、事業部門や拠点ごと独自のツールを使っていたため、コミュニケーションが取りにくいという課題がありましたが、情報共有/コミュニケーション基盤の導入で拠点や会社を横断した情報共有が容易になりました。社員からは、『大容量ファイルの共有が容易』『社員の在席情報を確認して効率的にコミュニケーションが取れる』といった声が届いています」と話します。

これらは結果的に従業員の業務生産性の向上につながり、働きやすさの改革につながると見ています。

セキュリティー強化の仕組みとしては、ポップアップ通知によるメール宛先設定ミスの抑制や送信時の上長承認などにより、メール誤送信に伴う社外への情報漏えい対策を強化。また、クラウド化したことでIT環境の迅速な展開が実現し、新拠点を立ち上げる時にも短期間に業務基盤を整備することが可能になりました。

「クラウドによる集約効果、生産性向上、セキュリティー対策の運用負荷の軽減などを考慮すると20%の費用効果が得られると見込んでいます」と岩切氏は語ります。

構築でポイントとなったのが認証系とメールの移行です。

後藤氏は「既存のAD注1環境を活かしながらパブリッククラウドの認証環境(Azure AD)に拡張する作業は複雑になりましたが、ツールを活用して効率的に対応しました。メールの移行は導入企業ごとに運用ポリシーやセキュリティーポリシーが異なるため時間を要しましたが、MDISやパートナー企業との緊密な連携で乗り越えることができました」と語ります。

プロジェクト全体の支援体制に関しては、構築に着手する前の構想・企画の段階からMDISと課題を共有して進められたことや、構築後も展開時のメニュー作成や説明会の実施まできめ細かなフォローが得られたことを評価しています。


システム構成イメージ

海外展開やBYODの導入を促進し社員の働きやすさをサポート

今後については、2020年度に向けてコミュニケーション基盤の海外展開を加速させていく計画です。情報共有のスピードを早め、社員の働きやすさをサポートするために個人所有のスマートフォンの活用(BYOD)も検討中です。情報共有ではナレッジDBを構築するなどしながら、世界の拠点で眠っているノウハウをグループ全体で活用できる仕組みを構築していくことを検討しています。

岩切氏はセキュリティーの領域においての展望を次のように語ります。

「サイバー攻撃対策のさらなる強化を進めていきます。その施策として、セキュリティー専門チーム(CSIRT)注2のグローバル対応化や、人工知能(AI)を活用した振る舞い検知なども検討しています」

(注1)Active Directory(アクティブディレクトリー): マイクロソフトによって開発されたディレクトリ・サービス・システムで、ユーザーとコンピューターリソースを管理するコンポーネント群の総称。

(注2)CSIRT(シーサート):Computer Security Incident Response Teamの略で、インシデントレスポンスを行う専門組織の総称。

お問い合わせ

三菱電機株式会社:
http://www.MitsubishiElectric.co.jp/

この記事について:
この記事は、情報誌「MELTOPIA」2017年5月号(No.226)に掲載されたものを転載しました。

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