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放射線治療情報ソリューション COCOA 導入事例地方独立行政法人 大阪府立病院機構 大阪国際がんセンター様

膨大な治療実績を蓄積した患者DBと最新の放射線治療情報との連携により業務の円滑化と患者サービスの向上を実現

2017年3月に大阪市中央区に移転した大阪国際がんセンター

西日本エリアのがん治療における中核病院として、高度医療サービスを提供する地方独立行政法人 大阪府立病院機構 大阪国際がんセンター。同院は2017年3月、新病院への移転に合わせて三菱電機インフォメーションシステムズ株式会社(MDIS)の放射線治療情報ソリューション「COCOA(ココア)」を導入しました。これにより、約2万件の症例情報を蓄積した「患者DB(データベース)」、病院情報システム、各種診断システムなどとのシームレスな連携が実現し、情報の可視化、共有化が進みました。現在、強度変調放射線治療(IMRT)に対応した3台の放射線治療装置(リニアック)により、全国トップクラスとなる年間約1,700件の放射線治療を行っています。

新病院への移転を機に新規放射線治療装置の更新を検討

大阪国際がんセンターは、大阪府立病院機構が運営する病院のひとつで、特定機能病院としてがんと循環器系疾患の治療に重点を置いた専門診療を実施しています。2017年3月には旧大阪府立成人病センターの名称を大阪国際がんセンターに改め、大阪城の西側に位置する新施設に移転しました。

同院では治療だけでなく患者様の快適な環境づくりにも注力し、院内のホールではコンサートや落語、各種講演を開催するほか、吉本興業や松竹芸能などと提携してがん医療とお笑いを結びつけるユニークな研究も行っています。

放射線治療を行う放射線腫瘍科は、常勤医師7名、診療放射線技師17名が在籍。年間約1,700件の治療実績があります。

「なかでも腫瘍に対して多方向から高い精度で放射線を当てる強度変調放射線治療(IMRT)は全国トップレベルで、半数以上の患者様がIMRT治療を受けています」と放射線腫瘍科 主任部長の手島昭樹氏は語ります。

こうした高度な放射線治療を行ううえで重要になるのが、病院情報システム(HIS)、院内画像サーバー(PACS)、各種診断システム、リニアック、CT装置などの情報をシームレスに連携する放射線治療情報システム(治療RIS)です。しかし、移転前は情報共有に課題がありました。放射線腫瘍科 主任の辻井克友氏は次のように語ります。

「診療放射線技師は医師の治療計画を基に検証を行い、看護師は患者様の情報を複数で共有します。しかし紙ベースでの情報共有が多く、時間がかかっていました。そこで治療RISを最新化して放射線治療情報を一元管理し、高度医療サービスの充実を目指すことにしました」


放射線腫瘍科
主任部長/大阪大学名誉教授
手島 昭樹 氏


放射線腫瘍科
副診療放射線技師長/医学物理室長
宮崎 正義 氏


放射線腫瘍科
主任 診療放射線技師/医学物理士/
医療情報技師
辻井 克友 氏

患者DBシステムのノウハウ保有とリニアックとの連携実績を評価

治療RISの選定については、4社の製品を候補とし、利用している病院を訪問して運用方法を確認しました。そこから大阪国際がんセンターにおけるシステム化要件を洗い出し、実現可能性を検討する中から最終的に同院のリニアックとの連携実績を持つ「COCOA」を採用しました。採用の最大の決め手は、従来から同院とMDISで共同開発してきた「患者DB」との連携実績でした。患者DBとは約2万人の患者様の臨床データを蓄積した同院専用のがん治療に特化した情報データベースです。血液データ、検査データ、抗がん剤データなど、現場で日々患者様を診察している臨床医が治療技術の進化に合わせて入力項目やテーブル構造を検討、追加しながら、長い年月をかけて使いやすい内容にしてきました。

「患者DBは、現在も進化を続けており、当院のがん治療において不可欠な存在となっています。膨大な情報を持つ患者DBと連携できる治療RISは限られており、そのノウハウを持つMDISのCOCOAの採用に至りました」(手島氏)

治療RISは、2017年3月の施設の移転とともに新システムに更新しました。特に配慮したことは、移転による治療中の患者様の放射線治療の停止時間を最小限にとどめることでした。

「放射線治療の場合、システム停止期間中に他の病院で治療することは困難です。MDISの手厚いサポート体制のもとで、新システムへの切り替えを3日間で行いました。MDISにサポートいただけたことで、スムーズに乗り切ることができました」(手島氏)

放射線治療情報の一元管理により高度医療サービスが充実

新病院の移転と同時に稼働を開始したCOCOAは、各システム、装置と連携し、情報の一元管理を実現しています。その結果、当初の目的であった医師、医学物理士、診療放射線技師、看護師、事務員間の緊密な情報共有を実現しました。

「特に看護師からは非常に好評です。紙の書類で管理していた従来は、リニアック操作室にしか放射線治療に関する情報がなく、看護師はその情報に触れる機会がありませんでした。それが、看護師の端末から情報が把握できるようになったことで、タイミングよく医師をサポートできるようになりました」(辻井氏)

また、今回のCOCOAで追加された新機能である「患者認証」の機能や、「カウチ移動量表示」機能などで、治療がよりスムーズになりました。さらにリニアックが故障した際、別のリニアックに振り替える新機能は、サービスの向上と病院経営の健全化に大きく貢献しています。放射線腫瘍科で治療する患者様は1日約150名、1人の患者様で数回から数十回の放射線治療があるため、3台のリニアックの稼働率を高める必要があります。

放射線腫瘍科 副診療放射線技師長の宮崎正義氏は「新病院に移転してからまもなくリニアックの1台に不具合が生じたことがありました。従来は即日修理が難しい場合、患者様に別の日に改めて足を運んでいただき、治療していました。しかし、今回から別のリニアックにて治療ができるようになったことで、治療日を延期する必要がなくなりました」と効果を語ります。

このほか、患者サービスでは、検査室の前にデジタルサイネージ方式の案内番号表示板を新たに設置。治療までの待ち時間を分かりやすく表示するようにしました。

「アンケートの結果では、患者様の満足度は約15ポイント上がり、80.6%になりました。さらに、放射線腫瘍科に対する信頼度も3.3ポイント上がり94.7%に達しています」(辻井氏)


システム構成イメージ

ビッグデータを活用した高度医療の実現に向けて

今後についてはリニアックを増設し、将来的には4台、5台体制とすることで放射線治療、中でもIMRT治療の症例数を拡大していく方針です。

「新病院での業務が本格的に回り始めていくにつれ、COCOAに対する新たなニーズも生まれてくるはずです。MDISと継続的にコミュニケーションを取りながら機能の強化に取り組んでいきます。MDISには、多分野での技術や情報をベースとした提案を期待しています」と宮崎氏は語ります。

また、放射線治療のさらなる高度化に向けて、ビッグデータの活用も視野に入れています。

「当院には約2万件の臨床データが登録された患者DBがありますので、これをベースに診療データ、検査データ、さらには放射線治療装置の物理データ、遺伝子データ、生体データなど、多くの情報とリンクさせながら放射線医療への適用を考えていきたいと思います」(手島氏)

大阪国際がんセンターは、患者様の視点に立脚した高度ながん医療の提供と開発を続けていきます。

お問い合わせ

地方独立行政法人 大阪府立病院機構 大阪国際がんセンター:
http://www.mc.pref.osaka.jp/

この記事について:
この記事は、情報誌「MELTOPIA」2018年04月号(No.235)に掲載されたものを転載しました。

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