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三菱テキストマイニングシステム DIAMining EX 導入事例独立行政法人 海技教育機構 海技大学校様

先進のテキストマイニングを活用したヒヤリハット情報の分析・フィードバックにより、現場の安全教育、人材育成の向上を着実に推進

独立行政法人 海技教育機構 海技大学校は、船舶の運航に関する高度な学術、技能の教育・訓練を通じて、海上輸送の安全確保を担う優秀な人材を育成する船員の再教育機関です。同校は、約7,000件に及ぶ船上作業のヒヤリハット情報を効率的に分析し的確に安全教育に生かすため、三菱電機インフォメーションシステムズ株式会社(MDIS)のテキストマイニングシステム「DIAMining EX(ダイアマイニング イーエックス)」を導入し、先進の概念検索機能、辞書機能を活用したヒヤリハット分析システムを構築。

自由文で記入された主観的なヒヤリハット情報を客観的かつ的確に分析することで、作業標準の整備、現場の安全教育、人材育成の向上を着実に推進しています。

ヒヤリハットを現場に的確に生かす分析システムの構築に着手


学生主査 航海科 准教授
山本 一誠 氏

1945年の創設以来、船員のライフサイクルに合わせた実務教育訓練、船員再教育などの海技教育の多様性に柔軟に取り組む海技大学校。同校では各種シミュレータをはじめとする教育訓練設備の充実化とともに、「新人教育」「資格教育」「実務・教育訓練」「水先教育」など多岐にわたる教育・訓練を提供しています。

同校では交流がある船舶会社より、1年分の船上作業におけるヒヤリハット情報約7,000件の提供を受けました。船舶に関する安全文化教育を担当する航海科の山本一誠准教授は次のように語ります。

「実務を通じて得られる貴重なヒヤリハット情報を分析し、現場の安全教育に生かせる傾向を解析することで、乗船勤務のOJTプログラムの充実化や設備対策に反映できると考えました」

そこで同校では山本氏を中心に、手書きのヒヤリハット情報のテキストデータ化を進めるとともに、自由記入されたヒヤリハット情報を分析するシステムの構築について、検討を開始しました。


簡単操作で容易に分析できる概念検索と単語共起表を評価

テキストマイニングシステムの導入を図るうえで、山本氏は簡単な操作で分析結果を得られることをポイントとしました。

「分析の専門的知識がなくても、自由文による記述を分析できるツールをWeb検索したところMDISのシステムが目にとまり、さっそくデモを依頼しました」

実際のヒヤリハットデータを使ったデモで、山本氏はテキストマイニングによるヒヤリハット分析で必要となる機能を理解するとともに、手作業による分析では気づかなかったキーワードや場所・日付などの属性との傾向が、簡単な操作で見えてくることを実感しました。

「専門的な分析活用を想定したツールは、操作が複雑で取り扱いが難しい。その点、MDISのシステムはシンプルな操作で簡単に扱うことができました。また、普段から使い慣れているExcelにグラフを出力して加工できるため、分析結果をビジュアルに説明したり、教育計画を提案したりする際にも有効と考えました」と山本氏は語ります。

導入の決め手となったのが、キーワードや文章から類似した内容を含む文章をまとめて検索できる概念検索と、多様な観点からデータを絞れる単語共起表です。

「例えば、ロープに関するヒヤリハット情報を分析する場合、通常のキーワード検索では“ロープ”という単語を含む情報がヒットするだけです。しかし、概念検索は指定したロープというキーワードが含まれていない文書でも、ロープと関連性の高い“係留”といった言葉が抽出されるとともに、“転びそうになった”というような、ロープに起因するヒヤリハット情報までもピックアップすることができます。また、単語と属性の集計表である単語共起表からキーワードや日付や場所など属性を選ぶだけで、全文を読まなくてもどんなヒヤリハットが多いのか傾向を知ることもできます。これこそ、私どもが求めていたシステムであると確信しました」(山本氏)


自動学習する辞書とユーザ辞書によりヒヤリハットの分析を深化

テキストマイニングを導入した同校では、自動学習する辞書を活用するとともに分析精度をより高めるため、ユーザ辞書のチューニング作業を実施。山本氏は次のように語ります。

「例えば、専門用語の記入において、“機関室”を、“エンジンルーム”と記述する船員もいれば、“E/R”と略語で表記する船員もいます。これらはすべて同義語と見なさなければなりません。一方、『船上』と書かれていても船舶の中の空間と甲板上で、発生するヒヤリハットは異なるため、精査しながら方針を固める必要がありました。とても時間を要する作業ですが、MDISのテキストマイニングには、複合語の候補を通知する機能や、同義語をマージした時、テキスト中に含まれる候補件数を表示する機能があるので、辞書に登録すべきかどうかの判断がつきやすく、作業時間の短縮につながっています」

また、分析作業だけでなくチューニング作業においても概念抽出機能が活用されています。

「1つのキーワードに対して、思いつかないような類似語や関連ワードが、概念抽出によってピックアップされるため、登録作業のヒントになり、分析精度の向上に貢献しています」と山本氏は語ります。


テキストマイニング活用のイメージ


テキストマイニングで安全教育を強化。分析結果のフィードバックで恩返し

海技大学校では分析精度をさらに高める作業を踏まえ、ヒヤリハット情報の分析結果をOJTプログラムへフィードバックするべく、作業標準の整備を展開しています。

「従来は、ヒヤリハットの体験者のみが問題を認識できていました。こうしたヒヤリハット情報をテキストマイニングで分析し、作業標準の整備によってOJTプログラムにフィードバックすることで、複雑多岐にわたり高度化する事故対策の適切な知識や判断を習得できるようになります。このように安全教育に利用することが、情報提供いただいた船舶会社をはじめ、業界への恩返しになると考えています」(山本氏)

また、同校では今回のヒヤリハット分析で習得したノウハウをもとに、操船シミュレータをはじめとしたトレーニングシステム改善のための分析も行う計画です。山本氏は次のように語ります。

「学内で実施している各種シミュレータ訓練に関するアンケートが、過去8年分蓄積されています。これらの情報についてもテキストマイニングで分析・フィードバックすることによって、カリキュラムの充実、強化を図っていく計画です。当校は人材育成を図るうえで福利厚生などの施設の品質向上も重視しており、そこでもテキストマイニングを活用していく計画です。例えば、寮に宿泊された方からアンケートを取り、施設・サービスの改善に努めていきたい。このように、テキストマイニングで改善策を講じることができる場面は数多くあると考えています」

海技大学校は、多様な海運業界からのニーズに柔軟に対応し、多岐にわたる教育・訓練を 提供することで、船舶の安全運航に貢献していきます。

お問い合わせ

独立行政法人 海技教育機構 海技大学校:
http://www.mtc.ac.jp/

この記事について:
この記事は、情報誌「MELTOPIA」2010年6月号(No.157)に掲載されたものを転載しました。

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