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事例

三菱SCM/ERPソリューション SAP ERP 導入事例日本タングステン株式会社様

国内3工場同時稼働と内部統制への対応を実現する、
全社的な統合基盤を短期間に刷新

粉末冶金の高度な技術を活かし、タングステンを主体としたレアメタル材料製品やファインセラミックス製品を中核に事業を展開する日本タングステン株式会社。

同社は、三菱電機インフォメーションシステムズ株式会社(MDIS)の支援を受け、業務改革とスピード経営を基本コンセプトに基幹システムの刷新に着手。国内3工場を含む広範囲の業務と部門を対象に「SAP ERP」を短期導入し、決算処理期間の大幅な短縮、意思決定のスピードアップ、人材のスキル向上などを実現しています。

課題解決の迅速化を目指し、SAP ERPの標準プロセスに着目

全社的な業務改革を推進する日本タングステンが、ERP導入に向けた本格的な取り組みを開始したのは2006年のことです。まず、具体的な導入作業として着手したのは、複数ベンダーへの業務と情報システムの現状調査や提案の依頼でした。同社がERPの導入を決断した理由は、標準プロセスを活用することで、従来から認識していた生産力、営業力(販売力)、経営力という多方面にわたる課題を短期間で解決できると判断したことにあります。

例えば、同社が目指した業務改革の1つに、製品単位での個別原価管理の実現があります。従来は、複数製品で構成したグループ単位に1つの製品コードを設定していたため、生産面では現状の把握に時間がかかり、改善に至るサイクルが有効に機能しにくい。営業面では、製品ごとの収益把握が見えにくく、リソースを集中すべき製品の見極めに時間がかかるといった課題が顕在化していました。

さらに、内部統制報告制度やIT全般統制など、経営面での課題にも直面。これらに対応した業務フローや情報基盤の早期構築が求められていました。

同社の試算では、これらの課題を既存システムの延長で解決すると約4年かかることから、世界的に実績のある標準プロセスを活用することが、時間的にもコスト的にも最善であると判断し、SAP ERPの導入を決定しました。統括責任者を務めた管理部長の徳本啓氏は、自社固有の業務プロセスを標準プロセスに吸収できると判断できたことが決め手になったと当時を振り返ります。

「既存システムには当社独自の様々な専門的なノウハウが反映されていますから、当初は標準プロセスの導入に不安がありました。実際に、細かいレベルではSAP ERPで実現できない機能もある。ところが、個別機能ではなく、例えば在庫管理システム全体として見れば優れていることを認識できました。将来に渡って変化に対応していくという点でも標準プロセスが有効だと考え、導入を決定しました」


管理部長 (現基山工場長)
徳本 啓氏


管理部 主幹
情報システムグループリーダー
藤尾 重博氏

コンサルティング力を評価し、導入支援パートナーを決定

複数のベンダーに調査や提案を依頼していた日本タングステンは、2006年12月に導入支援パートナーをMDISに決定しました。ポイントになったのは、日本タングステンの事業特性を理解したMDISの専門的な技術とノウハウでした。

「例えば、世界で約6割のシェアを占める磁気ヘッド基板材では非常に厳しいトレーサビリティが要求されるため、私どもは当初から金属や製紙、繊維などの製造業に特化したSCM機能やCRM機能を提供するSAP for Mill Productsを重視していました。MDISはそのコンサルティング実績が豊富であり、またプロジェクトに関わる複数のコンサルタントに対して、製造業に特化した専門的なスキルの高さを感じられたことを評価しました」(徳本氏)

こうして、「PEGASUS(ペガサス)」と名付けられた日本タングステンのSAP ERP導入プロジェクトが、2007年2月に発足しました。

ユーザ部門のモチベーションの高さがプロジェクト完遂の原動力

社長自らがPEGASUS プロジェクトの最高責任者に就任し、全社プロジェクトとして動ける体制の下、外部システムも有効に活用するという方針を採用した上で、SAP ERPの導入範囲を明確化しました。その対象業務は、財務会計、管理会計、在庫・購買管理、生産・計画管理、受注管理で、対象部門は国内の全3工場を含む関連部門。導入対象の業務と部門は広範囲に及ぶものの、短期導入のスケジュールを策定しました。

推進体制は、各ユーザ部門から選任された業務構築チームと情報システム部門による環境整備チームで構成。プロジェクトは従来の業務も兼任した業務構築チーム主導で推進されました。ここで徹底したのは、標準プロセスを活用し、アドオンを最低限に抑えるという開発方針。管理部 主幹 情報システムグループリーダーの藤尾重博氏は、業務構築チームの主体性が、円滑なプロジェクト推進の大きな原動力になったと語ります。

「例えばある工場では、既存システムとSAP ERPのプロトタイプを並行して動かし比較する作業を自主的に進め、標準プロセスで対応できることを検証していきました。それぞれのユーザ部門がこのように積極的に取り組む姿勢が大きな力となりました。全体統合の短期実現を図るため、段階的導入よりも難易度が極めて高い3工場同時稼働にチャレンジしましたが、この自主性や積極性を見て、プロジェクトの成功を確信できました」

また、課題への対応の早さも短期構築の推進力となりました。

「問題点があればすぐに会議を開き、解決策を早急に決定しました。その方針を決定・実行する上で、MDISと常に課題を共有し、意思疎通を図れたことが大きい。それとともに、移行支援ツールの『MALSY(マルシー)』の活用が、短期構築を可能にしました」(藤尾氏)

PEGASUSプロジェクトはその後、二度の運用試験を実施するなど、システム品質を重視した構築を推進。3工場の同時統合も含めて当初の計画どおり、2008年4月の本稼働を実現しました。

意思決定の迅速化とともに、決算処理期間の大幅な短縮を実現

本稼働から約1年が経過し、新基幹システムは様々な効果を生み出しています。例えばERP導入前に認識していた、収益分析を改善のアクションにつなげるサイクルの確立。すでに製造指図差違分析などの結果に基づき対策を講じるといった取り組みが浸透したほか、問題点に対しては、会議の場でSAP ERPを操作しながら検証することで、意思決定のスピードアップも実現しています。

また、部門を横断した統合情報基盤を整備したことで、決算処理期間も、月次ベースで従来の6日から3日に短縮。2008年第一四半期決算では、対象上場企業の中で10%以内となる早期発表を可能にしました。

さらに同社では、本稼働後も改革・改善につなげる活動を積極的に推進しています。代表的な例が、ゴールドラット博士が提唱する「TOC(制約条件の理論)」の導入による納期管理と在庫管理の改革。2008年11月から、特定部門で活動を進めた結果、2009年1月にその部門のみが納期遵守率を向上させるという効果を創出。現在同様の取り組みは、他部門へも展開しています。

さらに、同社が大きな効果として認識しているのが、PEGASUSプロジェクトに参画したメンバーのスキル向上です。

「人材という側面から今回のプロジェクトは、当社にとってのMBAコースだと位置付けていました。つまり経営や業務、情報システムという幅広い視野を持ち、今後会社を変革していく際の中核となる人材育成の一環でもありました。実際にメンバーにとって良い経験であり、スキルも確実に高まったと感じています」(徳本氏)

日本タングステンは、これからも次世代マテリアルのパイオニアとして、未来へ向けて挑戦を続けていきます。

お問い合わせ

日本タングステン株式会社:
http://www.nittan.co.jp/

この記事について:
この記事は、情報誌「MELTOPIA」2009年5月号(No.146)に掲載されたものを転載しました。

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