ライフスタイル認証をはじめとする産学連携活動
ライフスタイル認証は、次世代個人認証をテーマにした産学連携による研究の成果として生まれました。
三菱電機デジタルイノベーション株式会社は、MistyAuthを高セキュリティで使いやすい認証システムにすべく、先進的な認証技術の開発と技術革新を追求しています。三菱電機デジタルイノベーション株式会社は学術的な知見と実務的な応用を融合させ、革新的なソリューションを市場に提供するため、継続して産学連携に参画していきます。
ライフスタイル認証の概要
ライフスタイル認証はAIによる行動解析を利用した認証です。スマートフォンなどのデバイスに搭載された各種センサー情報、(例えば位置情報・Wi-Fi情報等)から個人の行動パターンを収集・解析してテンプレート化します。
認証時の行動パターンとテンプレートをAIが比較し、本人の可能性が極めて高いと判断した場合、本人の操作なしで自動で認証が行われます。またその特徴から盗難時などの際には、行動パターンが一致せず認証が通りませんし、遠隔からのデバイスの利用制限も行うことも可能です。

ライフスタイル認証のユースケース
ライフスタイル認証のユースケースは、大きくオンラインでの認証とリアル社会での認証の2つに分けられます。
オンラインでの認証としては、通勤、通学、在宅中のサービスログイン、取引、買い物など、普段の行動範囲内なら、自動で認証されます、また、普段と違う状況からの操作を検知できるため、いわゆるリスクベース認証の代替としても利用可能で、リスクポリシー設計も簡略化することができます。
リアル店舗での認証としては、お店で財布、スマホを出さずに自動で決済したり、自動で来店者にポイントやクーポンを配布することで常連客を作るのに役立ちます。また、スマートシティでは、行動範囲内となることが多い為、施設利用や乗り合いバス、MaaSなどへの活用も考えられます。

ライフスタイル認証の有効性の確認
ライフスタイル認証は、センサーを用いてユーザーの生活習慣を解析し、個人を認証する技術で、東京大学大学院 情報理工学系研究科 ソーシャルICT研究センター 山口利恵研究室 と当社が中心となって開発されました。この技術は、従来のパスワードや生体認証に代わるもので、より安全で便利な認証方法を提供します。スマートフォンのGPSやWi-Fi情報、アプリの利用履歴などを活用し、ユーザーの負担を軽減しながら高い認証精度を実現します。2017年から実施された大規模な実証実験では、約5万7,000人を対象にデータを収集し、認証技術の有効性を確認しました。

さらなる取り組み「行動情報解析」
当社は、東京大学山口研究室との産学連携において、これまでに培った認証技術を軸に、様々な分野への適用、実用化を目指して研究を続けています。そのために、位置情報が中心だったデータ収集対象に、活動量計、IoT機器、さらには画像、映像データも追加し、認証精度を高めデータの活用領域を広げます。
収取したデータを個人の特定だけに利用するのではなく、行動情報として解析し、社会での活用を考えます。具体的には、決済との連携、快適で健康な生活の支援、地域での連携、防犯、防災への活用を考えています。こうした活用の結果、地方自治体での交通網整備や交通機関の利用方法の見直しを提言するなどの実績を上げています。
こうした活動に加え、現在サイバネティックアバターのためのデータベース基盤の開発にも協力しています。サイバネティックアバターとは、デジタル空間などで人間の代理として活動することができる仮想存在です。未来社会における新しい生活様式において、サイバネティックアバターはその中心的な役割を果たします。
サイバネティックアバターが安全かつ効率的に機能するには、サイバネティックアバターおよびその操作者であるユーザーの膨大な行動データや環境データをリアルタイムで収集・解析し、サイバネティックアバターがユーザーの意図を正確に理解し、適切な行動を取ることができるようにする必要があります。
このデータベース基盤の設計開発では、ライフスタイル認証で培った行動履歴に基づく認証技術が活かされています。このような研究開発により、サイバネティックアバターは、より自然で直感的なインターフェースを提供し、ユーザーの生活を豊かにすることが期待されています。
※ライフスタイル認証は、国立大学法人東京大学の登録商標です。