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SAP S/4HANA 移行プロジェクトでSAPデータ登録ツール「MALSY」を採用し移行プログラム開発コスト85%以上削減

半導体製造装置やフラットパネルディスプレイ(FPD)製造装置のグローバルリーディングカンパニーである東京エレクトロン株式会社(TEL)は、事業部やグループ会社ごとに個別最適化されていた従来のシステムを「One-TEL」の実現に向けグローバル統合するシステムに刷新しました。
その基幹系システムにはSAP S/4HANAを採用しました。従来のシステムからSAP S/4HANAへのデータ移行に三菱電機インフォメーションシステムズ株式会社(MDIS)のSAPデータ登録ツール「MALSY(マルシー)」を採用し、移行用のアドオン開発をわずか1本に削減するなど、移行プログラムの開発コストを85%以上削減しました。

データに基づく迅速な意思決定に向けて基幹システムのグローバル統合を決断

世界の半導体メーカー・FPDメーカーに優れたプロセス性能と量産性能をもつ数々の製造装置を、確かな技術サービスとともに提供するTEL。近年は多様化する微細化ニーズに対応するため、デジタルトランスフォーメーション(DX)に積極的に取り組んでいます。

同社のビジネスを支えてきた現行の基幹システムには30年以上の歴史があります。それらは個別最適化が進み、データに基づく迅速な意思決定を行うには限界がありました。そこで同社は大幅な業務効率の改善を進めるとともに、グローバルで統合された基幹システムとしてSAP S/4HANAの新規導入を決定しました。

取締役 常務執行役員 フィールドソリューション事業本部長 業務改革プロジェクト担当の春原清氏は次のように語ります。

「1963年に技術専門商社として創業した当社は、日本のお客さまの技術的要求に高い水準で対応するため、米国の半導体製造装置メーカーと合弁会社を立ち上げ、その技術を習得することで装置の自社生産も徐々に可能となり、メーカー機能を持つ商社という独特なポジションを確立しました。その際、事業部門、工場、海外の現地法人それぞれの強みを活かすため、業務プロセスとシステムを個別最適化して競争力を高めてきた歴史があります。その結果、売上高1兆円超、世界トップ3を争うレベルまで躍進を遂げました。しかし、より激しさを増すグローバル市場で戦っていくため、「東京エレクトロングループはひとつ」であることを意味する「One-TEL」を旗印とする業務改革を推進しています。この取り組みの中でSAP S/4HANAを中核とするシステム刷新は、変化に迅速に対応した事業や経営判断を可能にする施策の位置づけです。

2021年4月に適用される売上計上の新ルール「新収益認識基準」に対応する必要もあり、グループの基幹システムを刷新する「業務改革プロジェクト」を2019年にスタートしました。

取締役 常務執行役員
フィールドソリューション事業本部長
業務改革プロジェクト担当
春原 清 氏
IT本部
情報システム部
部長代理
柿 良幸 氏

Web入力の機能が追加された新バージョンの「MALSY」を採用

SAP S/4HANAの新規導入において、課題のひとつとなったのが、ホストシステムからのマスターデータとトランザクションデータ(在庫・受注・発注)の移行です。同社の取引先は国内から海外まで多岐にわたりトランザクションデータも膨大です。

当初、データ移行は他社のバッチインプット製品の利用を考えていました。評価を進めていくと投入データと実行結果、メッセージが1対1で紐付けた管理ができず、移行作業の負荷が高まることが判明。そこで、MDIS のMALSYの活用を検討しました。その理由をIT本部 情報システム部 部長代理の柿良幸氏は次のように語ります。

「以前からMALSY の使い勝手の良さを評価していましたが今回、決め手になったのは、最新版のVer9.0で追加されたクライアントへのSAP GUI for Windowsのインストールが不要となるオプションでした。このWeb入力機能(MALSY Web サービス)によって、システムのグローバル展開を目指す当社の基本方針に最も適合したツールがMALSYでした」

MALSY の採用決定後、2019年10月よりデータ移行プログラムの開発をスタート。MDISのSEの支援を受けながら、約1年かけてデータを一括登録するためのワークシートを約150本作成しました。その結果、移行専用のアドオンは、当初の約30本の計画からわずか1本まで削減することができました。

これまでメインフレームを担当としていたメンバーは、SAP特有の思想を把握できずに手間取っていたものの、MALSYのデータ登録シートを共通言語とすることで、データ分割の要・不要や組み合わせについて急速に理解を深めることができました。マスターデータの作成やクレンジングにおいても、MALSY上で直接実施することで、新旧のデータを比較しながら作業することが可能になりました。

「今振り返ると、MALSYを導入していなければ、予定通りのスケジュールでプロジェクトを進めることは困難でした。MDISのSEにはデータ登録シートの開発支援に加えて、移行元システムのメンバーや、SAP側のモジュールを担当する業務担当者とシステム担当者の双方に対してサポートをいただきました」(柿氏)

当初MDISは、SE 数名体制でデータ登録シートの作成とMALSY のトレーニングを支援していましたが、現在は体制を10数名に強化し、SAP S/4HANAの導入に関する多くの領域に支援を拡大しています。

移行準備期間を10分の1に圧縮しプログラムの開発コストを85%削減

MALSYを活用することで、約1ヵ月で必要なデータ登録シートを用意することができました。移行プログラムをアドオンで開発していた場合と比較すると、準備期間は約10分の1に短縮できたといいます。コストについても、移行プログラムの開発に限定すれば、85%以上の削減効果が得られたと試算しています。

「慣れ親しんだExcelをベースとするMALSYは、SAPの画面操作を覚えるよりも容易に扱うことができ、初心者にとっても有益です。データの作り方によってバッチインプットや汎用モジュール(BAPI)などを使い分けて実行できることも非常に有効です」(柿氏)

新バージョンで追加されたMALSYのWeb入力機能についても、SAP GUI for Windows がインストールされていないPCからでも利用できる自由度の高さを評価。MALSYは英語にも対応しており、現在進めている米国や欧州拠点へのSAP S/4HANAの導入では、海外拠点からWeb経由でMALSYを利用することで、データ移行時間の短縮につながることを見込んでいます。

TELでグローバルに使われているMALSYのイメージ図

MALSYを定常的業務でも活用

SAP S/4HANAを中心に、CRM、受発注、SCM、WMSなどの周辺系を含めて合計43システムを刷新するTELグループの「業務改革プロジェクト」は、複数のフェーズに分かれて進行中です。国内本社をターゲットとした第1フェーズは、2021年5月に本稼働を開始しました。

今後は2023年を目処に、国内の工場やグループ会社、さらには欧米およびアジアの現地法人に順次展開しながら「One-TEL」の実現を目指す考えです。

「新システムを通して、迅速に経営判断を行いながらビジネスの変化に対応していきます。また、一元化された工場データや、グローバルに統合された情報の活用を通じて、製造業のDX 推進を目指します。さらに、働き方改革を進めることで、従業員の効率的な働き方を追求してきます。これらの取り組みを強みに変え、世界No.1を実現することが私たちの目指す将来です」(春原氏)

データ移行をメインに使用していたMALSYは、現在は年に数回実施する大量データの更新や、一部の特殊な品目マスター、取引先マスター、プロジェクト・WBS(Work Breakdown Structure)の登録や更新など、定常業務にも範囲を拡大しています。

「MALSYは、SAP Queryも扱うことができるため、いくつかの業務で利用する帳票の代わりとしても活用しています」(柿氏)

MDISに対しては、進行中のプロジェクトにおける継続的な支援に加えて、保守業務での支援に期待を寄せています。

TELは、これからも「革新的な技術力と、多様なテクノロジーを融合する独創的な提案力で、半導体とFPD 産業に高い付加価値と利益を生み出す真のグローバルカンパニー」というビジョンのもとBest Products、Best Technical Serviceを追求していきます。

※1 MALSYは、三菱電機インフォメーションシステムズ株式会社の登録商標です。

※2 SAP、SAP S/4HANA、SAP GUI for Windowsは、ドイツおよびその他世界各国におけるSAP SEの商標、または登録商標です。

※3 Excelは、米国Microsoft Corporationの米国およびその他の国における登録商標または商標です。

東京エレクトロン株式会社:
https://www.tel.co.jp/新しいウィンドウが開きます

この記事について:
この記事は、情報誌「MELTOPIA新しいウィンドウが開きます」(No.256)に掲載した内容を転載したものです。

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