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ヘルスケア情報を統合管理するデータベースと専用のセキュリティー基盤でSociety5.0時代の医療変革に貢献

内閣府の『平成30年版高齢社会白書』によると世界の中で最も高い高齢化率の日本は、特に健康寿命を延伸する次世代型ヘルスケアが求められています。病気にかかってから治療する「治癒」から未然に防ぐ「予防」への転換、様々なデータに基づく個人にあった「最適な治療」への転換を実現することで、Quality of Lifeを向上させることが目指す姿です。三菱電機インフォメーションシステムズ株式会社(MDIS)では、医療情報や個人情報を統合管理するデータベース基盤や、医療分野の認証基盤「ヘルスケアPKI」、保険薬局向けシステムなどのヘルスケアソリューションを通してSociety5.0の実現に貢献していきます。

データを駆使したオーダーメイド医療で健康寿命を延伸するSociety5.0時代のヘルスケア

狩猟社会(Society1.0)、農耕社会(Society2.0)、工業社会(Society3.0)、情報社会(Society4.0)に続く、新たな社会を意味するSociety5.0。日本政府による科学技術政策の基本指針の一つで、2016年1月に内閣府が発表した第5期科学技術基本計画において、日本が目指すべき未来社会の姿として提唱されました。

内閣府によるとSociety5.0は「サイバー空間とフィジカル空間を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する人間中心の社会」と定義され、IoT、AI、ロボットなどの最新テクノロジーによって社会をより便利にしていこうというものです。例えば、ドローンによる宅配、AIスピーカーやAI冷蔵庫、無人トラクターや掃除ロボットなど様々なシーンでの利用が想定されています。

医療や介護の分野でも個人の生体計測データ、現場で得られる各種情報、環境情報などのビッグデータをAIで解析することにより、ロボットによる生活支援、健康促進や病気の早期発見、個人に合った最適な治療の提供、医療・介護現場の負担軽減などの実現を目指しています。結果として健康寿命の延伸につながるとともに、医療費の適正化やヘルスケア産業の成長といった新たな価値をもたらすことが期待されています。

MDISは健康情報や健康診断情報を管理するデータベースや機密性の高い医療情報を保護する認証技術などを活用したヘルスケアソリューションにより、Society5.0時代の医療変革に取り組んでいます。

健康データを一元管理する「ともけん」で病気予備群を察知

MDISが提供する「ともけん」は、企業の人事部門、健康保険組合、病院でそれぞれが個別に管理している各種ヘルスケア情報を統合型の健康管理DBで一元管理する企業向けの健康管理サービスです。これにより、例えば、健康管理DBに蓄積された情報をもとに産業医が従業員と面談し、健康に関する指導を行うことで健康に対する意識の向上を促すことができるようになります。

政府の「日本再興戦略」の重要施策である国民の健康寿命の延伸の実現のため、健保組合にはデータヘルス計画の実行が求められています。データヘルス計画とは、医療情報(レセプト)や健診結果の情報に基づきPDCAサイクルを回すことで効率的・効果的な保健事業を実施するための計画で、2015年度からすべての健康保険組合に実施が義務付けられています。

MDIS 経営企画室 新事業開発グループの遠藤淳氏は「『ともけん』は、データヘルスの基盤となるデータベースとして利用することができ、病気予備群の順位化など分析したデータに基づいた対策をとることで、結果としてより効果的な健康増進に貢献します。2019年4月からはMHP21活性化施策の一環として三菱電機健康保険組合への採用が決まっています」と語ります。

「ともけん」の健康管理DBは、個人の健康情報を集約した「共通PHR(パーソナル・ヘルス・レコード)」「独自PHR」「生涯PHR」の三つで構成されています。これらのPHRを統合管理することで、医師や個人が自身のデータを横串で閲覧することを実現しています。

「MDISは、日本医師会、日本薬剤師会、日本歯科医師会などの有識者のアドバイスのもと、シームレスな健康情報活用基盤実証事業など、複数の国家プロジェクトに取り組んできました。健康管理DBも各団体のご意見を取り込み、データベース構造のあるべき姿を踏まえて三つのPHRを統合したものです」(遠藤氏)

MDISは、ヘルスケア情報の安全な利活用を実現するため、本人同意に基づく情報の管理方法に関する特許を取得しました。企業(産業医)、病院(医師)、薬局(薬剤師)に対して、個人情報を開示する範囲を厳正に制御することで安心してデータを預けて利活用できるようにしました。

医師資格証(HPKIカード)により医療情報を関係者間で安全に交換

ヘルスケア分野で取り扱う医療情報や個人情報は極めてセンシティブなものです。そのため、ヘルスケア分野ではヘルスケアPKI(HPKI)と呼ばれるヘルスケア専用の公開鍵基盤が用意されています。これにより、医師などの医療専門職の記名押印もしくは署名が必要な文書を電子化することが可能になりました。また、HPKIを利用することで、ネットワーク上での本人性の確認、改ざん防止なども可能になり、医療従事者は安心して電子情報を扱うことができます。

HPKIの証明書は厚生労働省が所管する医師、薬剤師、看護師など26種類の保険医療福祉分野の国家資格と、院長・管理薬剤師など5種類の管理者資格を認証することのできる国際標準のISO17090シリーズに準拠した厚生労働省を信頼点とする電子証明書です。MDISは、認証サーバーシステム「MistyGuard<CERTMANAGER>(ミスティガード サートマネージャー)」や電子署名モジュール「MistyGuard<SignedPDF>(ミスティガード サインドPDF)」シリーズを提供しており、ヘルスケア分野において電子証明書を利用した電子認証等のセキュリティーシステムを構築した実績を有しています。

HPKIはすでに利用が始まっており、代表的な団体が日本医師会です。「日医IT化宣言2016」では電子化された医療情報を電子認証技術で守ることを宣言し、医師資格証(HPKIカード)の普及と、HPKIの安定運用を打ち出しました。医師資格証とは医師の資格を証明するためのICカードで、カードのICチップには日医認証局が発行するカード所有者の医師資格を証明するHPKIの電子証明書を格納しています。この証明書を用いることで、電子認証や電子署名を利用することが可能になります。

「HPKIを用いた医師資格証の発行数は2018年10月時点で1万2千枚に達し、順調に加入者を増やしています。国内の医師の数が約30万人といわれる中、今後HPKIカードの本格的な普及が進んでいけば、ICTを活用したSociety5.0時代のヘルスケアの実現が見えてきます」(遠藤氏)

日本医師会ORCA管理機構が推進するHPKI電子署名ソフト「SignedPDF Client ORCA(サインドPDF クライアント オルカ)」や文書交換サービス「MEDPost(メドポスト)」のサービスは始まっており、MDISではそれらを支援するヘルスケアソリューションを提供することでSociety5.0の実現に向けた対応を進めています。さらに、電子処方箋の実現に向けて保険薬局システム「調剤Melphin」(メルフィン)で活用できる仕組み作りを進めています。

MDISの考えるヘルスケアソリューションは、HPKIカードを中心に病院、診療所、薬局、介護施設、自治体、ヘルスケア関連企業、関連学術団体を連携するもので、将来的にはすべてをつなぐ医療スマートコミュニティを構想しています。MDISは安全性を高めるためのブロックチェーン技術を用いたソリューションも開発中で、高度なセキュリティー技術を組み合わせることにより、安全、安心、かつ開かれた医療への適用も期待されています。HPKIを軸により効率的な社会を実現し、Society5.0時代のヘルスケアサービスを展開していくMDISのチャレンジは今後も続いていきます。

システム構成イメージ

この記事について:

この記事は、情報誌「MELTOPIA新しいウィンドウが開きます」2018年12月号(No.242)に掲載されたものを転載しました。

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