プロフェッショナルが語る
ボイスロギングシステム
システムインテグレーターの強みを活かし、お客様の目的・用途に最適化した付加価値の高いシステムを構築
電話での会話内容を音声ファイルとして記録し、内容確認など必要に応じて再生する「ボイスロギングシステム(通話録音システム)」。今ではコールセンターの約90%に導入され、特に金融機関では、法対応のために通話の録音・管理は不可欠とされています。
三菱電機インフォメーションシステムズ株式会社(MDIS)は、システムインテグレーターとしての強みを活かし、コンサルティングから構築、運用、保守までワンストップで、お客様の目的・用途に合わせた付加価値の高いボイスロギングシステムを提供します。
電話応対に必須のシステム。マーケティング分野でも注目
企業がボイスロギングシステムを導入する目的は、主に「コンプライアンス強化」と「応対品質の向上」の2つに分けられます。ひとつめのコンプライアンス強化は、情報漏えい対策や、お客様応対時の「言った」「言わない」などのリスクマネジメントが狙いです。特に金融機関では、金融商品販売法により取引先への説明責任を負うことから、全営業拠点での通話録音・管理のニーズが高まっています。
2つめの応対品質の向上については、録音音声を利用したオペレーター教育や評価が利用の中心です。会話を録音して再生することで、会話品質向上による顧客サービスの平準化、新人教育や営業員のレベルアップ支援・意識改革が可能になります。そのため、ボイスロギングシステムは、コールセンターや金融機関での利用だけでなく、電話での業務が重要視される営業所や事務所などでの採用が進んでいます。
さらに、新たな目的として注目されているのが、蓄積されていくお客様の声(Voice Of the Customer : 以下、VOC)を利用したマーケティング活動です。多様化するお客様のニーズや価値観に対応するために、VOCを可視化して顧客視点での商品開発やサービス改善を進めようとする企業が増えています。
MDIS 金融事業本部 ビジネスイノベーション推進部 第二課 黒澤直樹氏は「お客様の声を分析することで、隠れたニーズを掘り起こすことができます。例えば金融機関の場合、保険商品販売に関する問い合わせが増加傾向にあれば関連商品のラインアップを強化しようというように、新たなビジネスにつなげて経営に貢献することが可能です」と説明します。
こうしたニーズは以前からありましたが、近年の音声認識技術の向上や、ハードウエアの高速化と低価格化により、導入する企業が増えてきました。
大規模な検証システムを活用し、技術的な裏付けをもとに導入を推進
MDISでは、お客様からの多様な要望に応えるため、ベリントシステムズ社の通話録音パッケージ「Verint」を中心とするコミュニケーション基盤をお客様のニーズに即して構築しています。MDISは世界シェアNo.1のベリントシステムズ社の正規販売代理店であり、メーカー認定技術者が10名以上所属しており、業界トップクラスの体制を整備しています。最大の特長と言えるのが、2000年から15年以上にわたってボイスロギングシステムを手がけてきた実績と、システムインテグレーターとして高い付加価値を提供できることにあります。
MDIS 金融事業本部 金融第二事業部 金融システム営業部 第四課の浅香宏之氏は、次のように語ります。
「システムインテグレーターとしての実績が豊富なため、お客様の目的・用途に合わせた最適なシステムをご提案できます。また、技術センターに大規模な検証システムを保有しており、主要メーカーのPBXや、大規模ストレージ、サーバーを用いて技術的な裏付けを取りながら着実に導入を進められる体制が整っています」
さらにMDISは、三菱電機情報技術総合研究所と連携してPBXの高度ログ解析ツールを独自開発し、事象発生時の解析迅速化、早期解決を実現しており、結果として顧客サービスの向上に結び付けています。
データセンターへのサーバー集約やマルチテナント化などに対応
MDISはデータセンターへのサーバー集約、マルチテナント化、大量データの新システムへの移行、仮想化環境への適用などに対応し、お客様の様々な要望に応えてきました。その中で最近の傾向として、拠点では録音サーバーを置かずにデータセンターですべて録音から保存、保持期間経過後の削除まで一括して実施するケースが増えています。本社で集約管理することで、拠点の運用負荷が軽減するとともに、セキュリティーの強化が容易にできます。
例えば、某大手証券会社では、全国100拠点を超える営業店において、合計約1万席、1日約25万コールの大規模な通話録音を実施しています。これまでは、全国の営業店にサーバーを置いて拠点単位で管理していましたが、その結果、運用コストの増加が顕在化しました。そこでMDISはデータセンターへの集約を提案。その結果、サーバー数をそれまでの230台から42台まで削減することができ、コストとともに運用負荷の軽減を実現しました。さらに音声データの遠隔地バックアップを新たに実施して、データセンター被災時でもデータロスが発生しない環境を構築しました。
外部システムとの連携もMDISが得意とする分野です。インプット(音声を取り込む)の連携では、単に音声を蓄積するだけでなく、CTI、CRMシステムとの連携を通して、音声以外の付加データを取り込み、発話者の属性(顧客IDや口座番号など)などと合わせて管理するシステムを構築しました。例えば、お客様の対応履歴を記した日報システムにおいて、音声データを紐付けておくことで、後から実際の通話内容を再生して詳細なやり取りを確認することが可能になります。
アウトプット(音声を出力)の連携においては、音声認識技術を用いた通話音声テキスト化システムと連携し、テキストマイニングによるキーワード抽出などの分析に活用できるシステムの構築実績があります。
通話録音のサービス化により、安価かつ短期の導入を支援
今後の取り組みとしては、ボイスロギングシステムのサービス化(SaaS化)を検討しています。
浅香氏は「MDISのマルチテナント、大規模システム構築のノウハウを生かして、クラウド環境上に構築したボイスロギングシステムを、仮想化技術を使って小分けにして提供するものです。これにより、比較的規模が大きくない金融機関やコールセンター、さらには中堅・中小規模でも安価に、高い機能を備えたボイスロギングシステムを利用することが可能になり、VOCの活用など先進的な取り組みが加速されます」と述べます。
その他にも、顧客対応を行う従業員の業務の効率化を図るために、CRMアプリの高度化を進めていく計画です。「具体的にはボイスロギングシステムのデスクトップ業務プロセス解析機能を用いて、オペレーターの業務アプリの利用時間、使用状況を分析し、業務プロセスの改善を図るというものです。例えば、オペレーターが利用しているアプリを可視化して、誤った操作を検知することで、正しい業務手順を指導することができます。さらに、付加的な効果として、不正行為の検知も期待できます」と黒澤氏は語ります。
また、コールセンター運営支援の一環としてコールセンターの稼働状況から必要な要員数を予測することでオペレーターの稼働状況を最適化するワークフォースマネジメント(WFM)機能を活用し、要員配置最適化を実現するほか、オペレーター満足度の向上に向けた取り組みも進めていく方針です。
MDISでは、これからもお客様のビジネスに貢献するボイスロギングシステムを提供していきます。
この記事について:
この記事は、情報誌「MELTOPIA」2016年4月号(No.215)に掲載されたものを転載しました。